トルコでの食事の内、朝食の様々を、今回は書いてみようと思う。まず、ホテルを取
るとき、必ず聞くのが、1泊の料金を聞いた後で、「その値段は、朝食付きかどうか」と
いうことである。答えは、「エヴット(イエス)」か「ハユル(ノー)」が半々だった。総
じて1泊千円以上するところでは、朝食付きだったようである。ではホテルでの食事と
は、簡単なハイキング形式のところもあれぱ、セットになってあらかじめ用意されてい
るものであれ、内容はほぼ同じである。食べ放題になるパン以外では、白チーズ、オリ
ーブ2種類、トマトの薄切り、ハム、ハチミツ、さくらんぼのジャム、バターにチャイ
というところで、安っぽい朝食になれば、そこから幾つかが減るという具合で、さして
珍しいものではない。オリーブがふんだんに出るところが、トルコらしいところか。味
はけっこう塩味が効いていて、トルコ人にとっては、日本で言えば漬物を食べる感覚で、
かじっているような気がする。
ホテルで朝食を食べないときは、自ずとロカンタ(食堂)で食べることになる。そこで、
「朝食(カハバルトゥ)」と言って注文すれば、丁度、ホテルで食べた朝食のセットメ
ニュー版が出てくる。店の表に、「朝食」と出てるから、そのように注文してみたのだ
が、店に入ってくるトルコ人たちは、そんなものを食べてはいない。イスタンプール以
外では、毎朝、同じ風景を見てきた。トルコ人は、朝から開いているロカンタに黙って
入ってきて、椅子に座れば、すっと同じ物が出てくる光景に何度も出食わした。その出
てくるものとは、トルコの朝食名物、「イシュケンペ」である。羊の腸の煮込みスープ
である。博多ラーメンのとんこつスープのようなものが、少し小さめの器に入れられ、
その横にレモンの固まりと、パンを盛って出てくる。味は塩味が効いていて、思いの外
しつこくはない。ただ、プカプカ浮く油に僕なんかは、朝からこんなものを食べてと、
少々腰が引けてしまうが、口にしてみると心配するほどのものではない。それに、トル
コ人は、思いっ切りレモンを絞り込む。僕なんかは、絞り過ぎると、ちょっと味が悪く
なるようで、ぽたっと垂らす程度で食べて、食べ頃であった。トルコ人は、更に、その
中にパンをちぎって入れてしまう。果たして、それがトルコ風に言って、行儀のいいこ
とかどうかはあずかり知らないところであるが、日本に帰ってから聞いたところによる
と、この「イシュケンペ」は、どちらかと言えば、地方の人が食べるものであるという
風潮があるとか。その一方で、イスタンブール在住経験2年半の人に言わせると、酒を
飲んだ後とか、二日酔いには最高とか。イスタンブールのカドウキョイの海岸沿いの
「イジュケンベ」専門店(Varanの営業所に近く、ここはホントにうまい)は、なかな
かのお味ということ。となると、イスタンブルっ子もなんやかやと言いながら、食べて
るということになってしまう。まあいずれにせよ、日本にあるトルコ料理の店でも味わ
えない代物であることだけは、確かである(と思ってましたが、あるそうですね)。
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(注)スープのことを、トルコ語では「チョルバ」といい、ここに書いたようにオ
ーソドックスな朝食です。「イシュケンペ・チョルパス」の他に、「エゾゲリン
・チョルパス」(これは、豆類のスープの一種のはずです。その昧からして。た
だミントを入れる場合が多く、多すぎると僕はまずく感じます〉、「メルジメッ
キ・チョルパズ」(レンズ豆のスープ〉、「タプック・チョルパス」(鶏ガラ・ス
ープ)、「パチャ・チョルパス」(パチャはおそらく部分を意味するパルチャがな
まったものであろうと勝手に考えている。羊の頭の肉を削いだもので、このスー
プを出す店は、店先に羊の頭蓋骨をきれいに積んでみせている。味は、イシュケ
ンペに近く、なかなかの美味である。東南部名物と言えばいいだろう〉などがあ
る。なお、イシュケンベが地方の食べ物という感覚は、私自身は持っていない。
また、「カハバルトゥ」表示の出ている店は、ほとんど見ない。と思っていたら、
何故かシャンルウルファで、結構見かけて、頭の中「?」になっているのが現状
です。
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