アクシェヒルという町は、黄紺の頭の中に、ずっとヤルバッチへ行くときには基点とすべき町として残っていた。ヤルバッチの素晴らしさは、今は亡きA氏から聞かされており、また、その際に、アクシェヒルという町が、基点とするに十分な町だということも伺っていた。そんな安心感もあり、2006年の夏、コンヤを出発した黄紺は、迷うことなく、このアクシェヒルに入りヤルバッチを目指すことにしたのだった。そんな話だけを頼りに入ったのだったが、この町は、地図をご覧になると、お判りだと思うが、コンヤからアフヨンに抜ける道と、エーイルディールを経てウスパルタへ抜ける道との分岐点になってることから、古来、交通の要所だったのだろう。町自体は、構造がしっかりとしており、にわかに成長した若い都市とは全く異なる雰囲気を持つ。これは、正直、その場に立ってみるまで、考えだにしていなかったことだった。単に、ヤルバッチに行くために寄らざるを得ず滞在した町ではなく、その町としての落ち着き、そんなものを感じてしまった黄紺は、この町が、いたく気に入ってしまったのだ。
小さな町なのだが、にわか作りではないメイダンがある。町を貫く大通りの一つは、これに沿っている。そして、バス会社のオフィスが、そのメイダンに面してある。ちょっと足を向けにくいような立派なホテルは、1軒だけど、そのメイダンのすぐ近くにある。普通のロカンタじゃない、ちょっとこましなレストランと言っていいようなお店もある。そのメイダンの一角から道をそれると、そこには古臭いチャルシュが広がる。とにかくコンパクトに、都市らしいのだ。
そのメイダンから、ある細道を入ると、レストラシオンを試みている伝統的家屋があり、その近くに博物館まで用意をされている。黄紺が訪れたときには、旧博物館は、古いジャーミーを利用してあったのだが、閉鎖中。そして、この恐らく新しい博物館になるだろう伝統的家屋は、非公開というエアポケットの時期に行ったようで、何も見ることができなかったのだが、やはり、この町の姿、そして、こういった文化施設の存在から、歴史の重みを想像するに十分な町と看ました。ウスパルタからも来れるところなので、今度は、この町目指して、南から入ってみようなどと、そんなことを考えている。
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