2007年 4月 4日(水)午前 9時 54分
今日、明日は、年度内に土曜出勤をした分の振り替え休日。ちょっと骨休めです。一昨日、なんか、疲労しきってしまい、その疲れた体を休める、いい教養日となるはずです。
日曜日も、昼と夜、ダブルヘッダーを組んだ。土曜日はせわしなかったんだけど、この日は、午後2時始まりの落語会だったので、ちょっとは、お出かけが楽だったかな? でも、この頃の定番となっている京阪特急の中でのお昼ご飯は、今回もやらせてもらった。コンビニで、パンやおむすびを買って、電車の中で食べるのだ。特急だと、座席の関係で食べやすいからだ。こないなことをして、時間を編み出しているのです。あ〜あ、涙ぐましいね。
「文太の会 in 高津の富亭」へ行ってきた、昼間は。「TORII寄席〜卯月吉例 林家一門会〜」と迷ったのだが、こちらの方は、わりかし林家の定番となる噺が並んでたので止めて、文太の「贋作」シリ−ズに賭けてみたのだ。すると、どうだ、高津神社に着くと、桜の下で花見が真っ盛り、屋台まで出ている。おかげで、花見もさせてもらって、まことに結構なチョイスと相成りました。まず、開演前に、今日は、文太が、アコースティックなギターを抱えて登場。自作のフォーク調の曲を、二つも披露してくれた。詞の内容は、全部落語というのが、いい。大笑いさせてもらった。六代目が、角座で「遊山舟」をかけてすべりまくってた話が、2度も出てまいりました。可笑しかったなぁ、きん枝は、ごみ箱でどつかれるしと、エピソード満載の歌に、大満足。で、肝心の番組は、、、、文太「近日息子」、文太「禁酒関所」、歌之助「噺家入門」、文太「九年母」だった。「近日息子」は勢いで突き進む噺、だから、若い人のエネルギーほとばしる口演がいいのだが、文太は、そういった意味では、歳なのだが、頼りなさそうなキャラ同士がやり合うことにより、可笑しさを出していた、やはり、業師だ。「禁酒関所」は、文太の中では、この日のベストかな? 安心して聴ける逸品でした。「九年母」は、贋作シリーズなのだが、短いお話。文太も言ってたが、元は小咄程度のものだったそうだ。丁稚もので、だから、同じ丁稚ものから借用したくすぐりなども入れ、一つの噺にまとめ上げていた。そんななか、文太には失礼だが、この日の、自分的ベストは、歌之助の新作。この噺は、制作過程を見ているものだから、変化に興味津々。一番最初は、こないなものだったかなぁなんて考えながら聴いていました。何がおもしろかったのかというと、落語フリークを喜ばせる組み立て方、くすぐりを入れているからだ。歯医者は、何者? 歌之助の家は医者だと聞いているので、ひょっとしたら、それを背景にしてるだろうか? 噺の流れでは、別に歯医者でなくてもいいので、そんなことを考えてしまいました。
そして、夜は、十三に回り、第七劇場で映画を観た。奥田瑛二主演の「ヒョンジェ」という映画だ。一言で言えば、「パッチギ」的映画と言える。シージャックをした在日の青年を警視庁の狙撃チームの隊員が狙撃をする。その狙撃隊員が、若い頃の奥田瑛二。それで、犯人を死なせてしまったことを悔い続け、警視庁を辞め、全国を回り回って、大阪に落ち着くが、その息子が、ふとしたことからバンド仲間に引き入れた高校生が、その狙撃された犯人の弟という設定。筋立ては、悔いる中味が、単に狙撃をして死なせたことかと思わせておいて、大詰めで、それだけじゃない、深い在日の苦しみ、悲しみが語られ、終結へと向かう。ここの詰め方がいい。そして、考えてみれば、個人としては、誰一人として邪悪な人物は出てこない。ちゅうことは、大状況に弄ばれる悲劇、だけど、確実に、奥田瑛二の息子と、犯人の弟が、それを、個のレベルで切り開いていってくれることを予感させる、そういう終わり方で、いいものを観させてもらったというのが実感で、見終わったときの満足感は、たっぷりとあった。
2日(月)は、年度初めの日。おまけに、際どく職場を出て、繁昌亭に辿り着いたときには、椅子にぐったり。そのまま座ってると、眠り込んでしまうんじゃないかと思いました。そういったお疲れのときは、たいがい三席目が危ない。これは、経験知。いい気持ちに、なってくるんだよね。で、この日は、普通の夜席、このあと、普通の夜席は、5時半始まりになるので、これが、最後でしょう、平日では。番組は、団姫「眼鏡屋盗人」、つく枝「刻うどん」、猿笑「お見立て」、五郎兵衛「高野聖(?)」、(中入り)、学光「荒茶」、小米朝「崇徳院」だった。団姫は、初物。お目々がくりくりで、愛嬌がある。20歳の女流噺家さん。気をつかって「吉永小百合」と言ってました、自分のこと。猿笑から学光まで、珍しい噺が並びました。五郎兵衛のネタは、これでいいのかすら分かりません。猿笑のネタは、単に東京ネタだから、珍しいと書いただけです。「荒茶」は、講談では、とてもポピュラーなもの。それを、落語に焼き直しての口演は、全くの初物。学光も、久しぶりのうえ、このネタで、マニアは、とても喜ぶものですよ。若旦那のこのネタ、若旦那のなかでは、ベストかもしれません。小気味良く、くすぐりも薄目なんだけど、タイミングがいい、オリジナリティがあるので、うける。ちょっと、後半、調子に乗りすぎた嫌いはあるのだけれど、とても練れてるという感じがしました。いわゆる商品になる出来具合でした。そんなで、ちょっと変わった雰囲気を味わった会でしたが、久しぶりに入りが少なく、繁昌亭で、こないな日に行くと、最近は、安らぎます。
3日(火)は、前日の疲れが尾を引き、きつい1日だった。この日に、ホントは、休みを入れていたのだが、急遽、会議が入り、出勤。そしたら、会議の出席メンバーの半分が忘れてた。ま、黄紺が覚えてると、こんな具合。普段は、逆なんだけどね。どんどん、忘れていく。だから、簡単に、人のことも許しちゃうのです。そんなで、疲れてたものだから、この日は、真っ直ぐ帰るつもりで家を出たのだったが、職場に行くと仕事がある。だから、腹が立ってきて、そうなると、しんどくても遊びに行っちゃう。「こふんよ講談会」という会に、ワッハの4階へ行ってきました。まだ、見ぬ女流講談師旭堂小二三の会だ。まず、弟弟子の南陽が出て「北原白秋物語入門」、これが、自分の会を紹介してからやり出して15分。次が、南陽も残って、小二三をまじえて、ゲストの和泉流狂言師中本義幸師を迎えてのトーク・ショーに50分。ようやく、最後に、小二三の講談「山内一豊とその妻」、これが30分だった。ゲストが、中本師だと知って、実はそそられた部分も、実はあったのです、この会。とにかく、上方の講談界は強者揃い。どなたを聴いても、満足度が高いけど、南陽は、ちょっと乗れないなぁ。トーク・ショーの仕切方一つにしても、自分の世界だけで進む、人が何を考えてるか、ましてや、、客の気持ちなど、お構いなしでは、乗れません。てな、文句を言ったのですが、会は、十分に楽しめましたよ。ただ、主役は、小二三なんだから、あなたが、前に出なくっちゃと思ったので、出さなかったのか、出なかったのかは分からないのですが、ま、そんなで、ちょっと不満を書いてしまいました。講談に入ると、小二三の熱意は感じました。若い講談師の皆さん、どなたを聴いても、まず、熱いものを感じます。昨日も、そうでした。そして、どの人を聴いても、うまい。小二三は、芝居の経験があるからでしょうね、一豊の妻の科白になると、女優になってました。いや〜、良かったですよ。じーんときちゃいましたから。宝井馬琴師との話も、良かったです。講談に対する熱意、ホント、嬉しい限りです。話は戻って、トーク・ショー。自分的には、謎の人物、中本師の素性が判りました。元鼓童の研修生なんですね。そこの研修でのメニューのなかに狂言があって、その講師にきたのが小笠原匡師だったという関係だそうだ。初舞台が、山本能楽堂ということだったが、この人の名前が出始めた頃に、黄紺は、山本能楽堂で、この方の間狂言を聴いてるのです。それが、「熊坂」だったかは、はっきりしないんだけど、ひょっとしたら、立ち会ってる可能性があります。そんなで、昨夜は、不満一方、それを越える満足たくさんで家路に着きました。
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