2007年 9月 2日(日)午前 11時 43分
この1週間を、先週の日曜日から振り返っておこう。この前の日曜日は、午後、出勤の日、振替の効かない日曜出勤って、そんなのありかなぁ? でも、現実は、そうなんです。そこで、夜遊びを、日曜日の夜にしました。前日、入れなかった心斎橋シネマートの韓国映画を観に行ったのだ。映画は、「レストレス〜中天〜」だ。中天とは、死者が、死後49日間、留まる場所という設定で、そこで出会う男女の物語を描いている。CGを駆使した迫力ある映像はいいのだが、中天というものを設定したならば、その設定を明確にし、それが分からなくなる、設定は、どうだったんだろうということを考えさせちゃ、あかんね。人間界との違いとか、そこんところが明確になってないと、ストーリー展開も分からなくなってくる。なんで、こうなるのと突っ込みたくなるところが、この映画にはあるということだ。ただ、この映画は、絵コンテなんかをしっかり描き、監督の描いたものを、スタッフが頑張って描こうとしたという、そういった美術面での成功というのが、黄紺が、最も気に入ったところだ。
27日(月)は、太融寺本坊で行われた「こごろうの会〜その12〜」に行った。太融寺は、落語会のホ−ムグランドだったが、改装されてから、その機会は、極端に減っ
ているので、久しぶりだ。今回、初めて知ったのだが、太融寺は改装されてから、パーテーションを使って、広さを調節できるのだ。今回は、一番狭くしての公演、次回は、その倍にするので、友人を連れてきての呼びかけを、こごろうさんはなさっていた。で、番組だが、雀太「道具屋」、こごろう「牛ほめ」、米平「はてなの茶碗」、(中入り)、こごろう「口入屋」だったが、当然のごとく、お目当ては、ネタ下ろしの「口入屋」だ。そんなトリの噺を聴く前の2つは、実は、あまり覚えてないのです。「牛ほめ」では、1つずらすくすぐりを入れ、笑いを誘い、成功だったようだが、これも、記憶にございません。「はてなの茶碗」もダメだったしと、どうも、寝不足がたたっています。ですから、感想は、2つだけ。雀太のこのネタ、前にも思ったこと、オリジナルなくすぐりを入れるときは、かげんというものを知らないと、マイナス効果となるぁ。店出しに現れたときの、周囲の店の描写は、とてもいいアイデアだと思うのですが、どうして、あんなにまで金魚すくいをにこだわるのか? やっぱ、かげんです。メーンは、そのあとなんだからと思ってしまいます。ヒッチハイク話を思いだしてしまいます。よね吉に、あんなに言われてるのに、、、。それに反し、「口入屋」のアイデア、そして、かげん、タイミング、ホント、こごろうのセンスは、抜群だ。まず、口入屋で待つ女たちの描写、ありそうありそうと、とっても納得、そこへ、丁稚さんが入ってくるという趣向は、他の噺家さんにも取り入れて欲しいと思うくらいのアイデアです。そして、スマッシュ・ヒットが、採用されたおなごしさんが、自分の得意技を言うところで、常連さん、大爆笑のくすぐりを入れてくれました。ネタ下ろしのため、若干、スムーズさに欠ける部分もあったが、これから練り上げられていくと、いい売りとなるんじゃないかな。
翌28日(火)と29日(水)は、谷町6丁目の薬業年金会館で開かれた講談の会と落語の会に行った。28日は、「旭堂南海の何回続く会?」であった。毎回、お一人で、1時間半、読んでいくという大変な会である。この日は、「特別読切企画第2弾・上杉VS武田 川中島大合戦」と題して行われたが、2日続けてダウンしてしまうという低汰落。講談だけは、途中からでは、皆目分かりかねます。29日は、2ヶ月に1度開かれている「笑いのタニマチvol.73〜笑福亭仁智の新作落語道場〜」だ。仁智が、新作のネタ下ろしをしていく会だ。新作だから、出来不出来はあるが、その辺が、新作ならではのおもしろさだ。この日の番組は、風喬「その後の大安売り」、仁智「健康居酒屋DHA(仮題)」、遊方「わすれうた」、仁智「ハードラック」で、2つ目が、仁智の新作らしい。まず、風喬の手がけた作品は、三金の作で、三金は、2度ばかり演じて棄ててしまったものを、受け継いでいるということだ。大安売りが親方になって、ダイエットに取り組むが、結果的には太るばかりという、元ネタの負けばかりから、太ってばかりに変わってるという、なかなかおもしろい趣向。捨てないで、残して欲しいです。遊方のネタは、メロディの一部だけは覚えていて、題名を思い出せない男が、CD屋の店員の協力を得て、あっちいったりこっちいったりで、落ちで思い出すというもの。最後は、この辺だろうという見えてしまう部分があるので、どこまで、その中で呆けられるかのアイデア勝負のネタ、今度の白鳥との二人会で、グレードアップをするとか、楽しみにします。で、仁智のネタは、2つとも、仁智ならではのポップな味の濃い、優れもの。「健康居酒屋DHA(仮題)」は、健康をコンセプトに、メニューを組んでいる居酒屋に入り込んだ酔っぱらいが、こけたおす噺。更に、それだけに終わらず、裏メニューまで用意されている。「ハードラック」の方は、とにかくついてない男が、身をはかなんで自殺しようとするが、それが、全て、ありえないことが起こり救われてしまう。なので、今度は前向きに起用とすると、、、場面は、一転、電気椅子に座っている。生きようとして、酒を飲みに入って、人を殺してしまったとの説明が入る。そして、死刑執行直前の主人公と執行人のオムニバス風対話となっていく。仁智のネタで、よくあるパターンだ。これが、バカバカしくて、傑作だ。ちょっとブラックな設定だが、パターンが2つにされることにより、おもしろさが、3倍にも4倍にもなった感じ。これは、ホント、満足度の高い落語会だった。
30日(木)は、大阪国際交流センターであった「メヴレヴィー教団のセマーの儀式 大阪公演」に行った。K氏から、ご連絡をいただき、実際に観ることができる格好の機会だと考えたからだ。黄紺は、トルコでだったと思うが、大晦日の日に、ユーロヴィジョンで、「行く年来る年」的な番組を観たときに、トルコからは、アヤ・ソフィアでセマーをするという映像を観たことがあったが、実物は初めてだった。トルコ大使館からの挨拶、文化省制作のトルコのプロモーション映画、そして、アンカラ大学の先生による公演、そして、セマーと続いた。楽団も、一緒に来演。1/4音まで出す未経験の声に感動です。セマーゼンは、結構、太ッちょと人もいたり、年配の人がいたりと、随分とイメージが変わりました。始まりから終わりまで、1時間くらいだったでしょうか、タイム・スリップしたような時間を過ごすことができました。終わってからは、久しぶりにお会いしたKさんご夫婦と、上六で呑む機会を持ちました。そんなに呑んでなかったつもりだが、天満橋から淀屋橋に戻り特急に乗ったのだが、目が覚めたら、出町柳、、、単に乗り過ごしただけなんだけど、何を思ったのか、ここを淀屋橋と思ったものだから、辻褄が合わなくて、大慌て。ましてや乗ってるのが、特急車両の準急だから、大混乱。酔っぱらいは、あきません。
31日(金)は、ルミエールホール・3階和室であった「るみえーる亭〜上方らくごの会〜」に行った。59回を数えるこの会は、北河内に続く貴重な地域寄席だ。お世話は、小春団治で、毎回出演している。その番組は、智之介「元犬」、生喬「応挙の幽霊」、小春團治「アルカトラズ病院」、春駒「宿屋仇」だった。「応挙の幽霊」は、ごっつい生喬が演じる幽霊が、やけに色っぽい。これにつきます。そんなに大きな展開がありそで、なさそなネタに、決めを付けてくれました。「アルカトラズ病院」は、ようやく出会えたネタだけど、ちょっと物足りないかな。翌日ともども、小春団治の、自分的には乗れないネタだと言えます。ちょっとすかされた、そんな気分を一転させたのが、「宿屋仇」。これは、良かった。伊八の変化、侍の苛立ちの変化、これが、これだけ微妙に変化させた口演って、ほぼ記憶がない。この2人の変化があるだけで、旅の3人のはしゃぎぶりも、おかしさが増していく。ベテランの味が、しっかりと、こんなところに出ていました。大詰めの恐がり、逆転、ここに、もう少し鋭敏さがあれば、完璧感を持ったことでしょう。
1日(土)は、勤務日。3時に職場を出て、彦八まつりに行った。どうも、この時期、仕事の関係で、なかなか行けず、生国魂神社は久しぶりだった。こないだの養蓮寺寄席で当たった招待券を、この日の夜の部の会で使おうという考えもあり、少し早めに行ってみた。土曜日の午後だからでしょうか、想像していたよりは、人では少なかったかな? ま、暑かったから、噺家さんも、大変、客も大変、そんなで、あの人出は、優れものと言わないとあかんね。舞台では、丁度、遊方さんが、富くじの司会をしてはりました。暑いので、飲み物を呑みたいけど、あとの落語会を考えて控えて、仁智さんのお店で、たこ焼きだけを買いました。お店は、随分と整理された印象を持ってしまいました。前は、もっと雑然としていたような、、、。暑いこともあって参集殿前で待っていると、こけ枝さんが案内係で、ギャグを飛ばしながら夜の部を告げられてました。入口の真ん前、トイレの隣が、福笑さんの店。道具屋みたいで、気の毒。ここまで客が回ってこない、いや、回ってきても、他の店も、同じようなものを売っているので、売れ行きは大丈夫なんだろうかと思ってしまいました。たまさんも、店の中で、ちょっと退屈そうでした。参集殿前に集まる人も少なく、「奉納落語会〜初日・夜の部〜」の入りは、ちょっと少な目かな。その番組は、呂竹「煮売屋」、仁勇「動物園」、枝女太「持参金」、(中入り)、小春團治「祇園舞妓自動車教習所」、智之介(マジック)、都丸「なずみ」だったが、これは、実行委員長の都丸が、入門30周年ということで、同期のピックアップ・メンバーで会を持ったということだ。というのに、「動物園」はいただけませんでした。主役の1人がという、自分の役割を考えて欲しいものです。「持参金」というネタ、最近、このネタに出会うと、わりかし満足なのである。3人の登場人物で、その噺の中での役割っていうのは、筋道に沿って語ればはっきりしているから、細かなことを言わないで、話に乗ればいいので、演じやすいのかな、そんなで、枝女太の口演は、おつりがくるほど分かりやすく、落語らしいありえなさを笑い飛ばすに、十分もので、満足です。中入りには、酔っぱらったざこばが乱入、ホントに久しぶりに、動物いじめの、「ねこ」と「きりん」をやってくれました。こんなのが、いいね、彦八まつり。小春団治のこのネタは、↑に書いたとおりです。舞妓から連想できることを、もっと増やすか、展開の意外性を持て来ないと、乗れません。そして、トリの都丸は、何をしてくれるかと思っていたら、丁度、あんたのこのネタ聴きたかったんやと声を上げたくなるネタを出してくれました。都丸は、仙台ヴァージョンだと思っていましたら、備前ものでした。あれ? そうだったっけ? じっくり聴かせ、最後に、すとんと落とす、いいです、いいです。もうちょっと、子どもに、幼気なさがあるといいんでしょうが、ま、それは、次回の楽しみと致しましょう。
落語会がはねたのが、7時20分。南湖さんからビールを買って、外のステージに行くと、ヒロポンズ・ハイが終わったところ、あれ〜と思っていると、アンコールに登場、1曲だけですが聴くことができました。このあと、ライヴが続くということだったので、慌てて、食い物調達へ、小染さんの店で、チジミを買いました。ステージでは、文福一座が登場、一座には、三馬枝、千田やすし、弟子のまめだ、ぽんぽ娘が入っています。完全に余芸ではなく、本芸を見せていただきました。最後は、お決まりの河内音頭で、それが終わると、枝三郎が司会で登場し、三枝会長、都丸実行委員長の挨拶になりました。そのあとが、お目当て、雀三郎 with まんぷくブラザースの登場です。来賓の紹介に、ちょっと困り顔の雀三郎、第1曲目は、「焼き肉食べ放題」から。途中に入った、「我が青春の上方落語」は、ぐっと来ちゃいました。隣のおじさんも、ちょっと大きく息を吸い込んで、聴き入ったはりました。9時までに、音を出すイヴェントは終わらないとあかんそうですが、雀三郎組が終わったのが、8時45分、終わったと同時に、阿波踊りの鉦が鳴り出しました。あと、どうなったのでしょうか? 黄紺は、その阿波踊りの人たちとすれ違いながら、帰途につきました。
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